ここでは、私、坂口が長年コンピュータRPGをやってきて不満に思っている事や、納得行かない事を、こんな感じで解消して、自分でRPGが作って見たいというようなことを書いています。本当に思った事をそのまま書いていますので、反論とかあると思います。そのような方は是非メール下さい。また、賛成してくれるデザイナーのかたや、音楽家の方、プログラマーのかた、一緒にRPG作って見ませんか?意見が結構出るようならフォーラムにして、とことん話し合って見たい気がしてます。
例えばパソコンであった、あるシリーズもののRPGでは、身体の各部分毎に「重傷」とか「切断」とかのパラメータがあるだけで、「命」という考え方が基本的に存在しないものもありました。これはこれで、かなり無理があるんですが、考え方としてはHPよりも納得が行きます。
実際にHPというのはどのように定義されているのでしょうか?「体力」なんでしょうか「生命力」なんでしょうか、それとも別のものなんでしょうか。私が結構納得行かないことが、HPがほとんど底をつきかけているキャラが、戦闘をこなし、(プレイヤーはかなり焦ると思いますが)敵に今までと同じようなダメージを与え、あわゆくば戦闘に勝利するといったことがあるからです。で、もし途中でザコの敵に1ポイントのダメージを食らって死んだりするんです。死ぬ直前の人間(人間じゃあない場合もあるでしょうけど)が、フルパワーの時と同じ運動ができると思います?おかしいですよね。
じゃあ、戦闘(もっと具体的に考えるなら喧嘩かな)中に、相手からダメージを食らうとすると何が考えられるでしょう?打撃によるダメージなら、打撲/捻挫/骨折/脱臼/内蔵へのダメージ/さんはん器官の麻痺/視覚の喪失/一時的な気絶など。刃物によるものなら、切傷/刺し傷/切断/骨折/麻痺/これらに伴う出血/内蔵損傷/致命的一撃など。魔法によるものなら、火傷/凍傷/切傷/刺し傷/麻痺/石化/窒息/毒/感電/呪いなどでしょう。このうち、麻痺、石化、クリティカル、毒、等は特殊な身体の状態として、どんなRPGでも定義されていますからいいとして、他の打撲とか、骨折とか、出血とかってほとんど表現されていないですよね。
私は、特に出血ということと、身体各部の損傷と、戦闘に対する意欲(精神力)に重点を置きたいのです。出血は人間の身体に劇的な変かをもたらしますよね。多量の出血は身体の各部が言う事を聞かなくなるとか気が遠くなる、戦闘意欲が減衰するなどの効果を引き起こします。戦闘意欲は高ければ、期待以上の戦闘成果をあげられますし、低ければ期待できない訳で、例えば食事を取っていなくて空腹であるとか、しばらく寝てないとか、依頼の内容に不満があるとかいうときに低下すると思うんです。
身体各部の損傷は、上の2つとはちょっと違って、完全に独立して考えられるものです。たとえば、狼に足を噛まれて右足だけ麻痺するとか、棍棒による一撃を頭に食らって一時的に前後不覚になるとか、もっと単純に言えば刀で右手を切断されたとか。
ということで、私は、HPの代りに、血の量(生命力とでもいいますか)、戦闘意欲の2つのパラメータと、身体各部の損傷状態という状態変数を導入するのがいいと考えます。そして、当然これらのパラメータは、自分が攻撃する時にも関わって来ます。戦闘意欲に関しては先に書いた通りですし、生命力にかんしては、たとえば全体の80%を切ると戦闘能力が落ちはじめ、70%を切ると末端器官から麻痺が始まり、50%を切ると気絶、40%以下になった場合は死亡。など。(数字に関しては実際の人間とは違います。)
私の考え方では、コンピュータRPGでの戦闘というものは、はっきりいって多すぎます。ワンダリングモンスターを大量に撒き散らしレベルをあげさせる。これはつまらないです。レベルアップ(もしくは経験値稼ぎ)が好きな人もいると思いますが、物語の本質じゃあないですよ。ですから、もっと戦闘と言うものをシビアに考えてみたいんです。格闘ゲームのような緊張感のある戦闘をさせて見たい。これはビジュアル的に迫力があるとかじゃなくて、リアリティのある描写(内部処理を含む)で迫りたいんです。一つの短めのシナリオに戦闘は4、5回とかでも良いと思うんですよ。レベルなんてそんなに上がらなくても良いじゃないですか。だいたい、HPが10倍とか100倍とか変ですよね。
以上が大体私の考えるHP(キャラクタの「命」)に関する考え方です。次回は「レベル」に関して(ちろっと伏線がありましたけどね)話したいと思います。御意見お待ちしています。
さて、私が思う”RPG”は”現実”(主な舞台であるファンタジーの土壌は現実とは言えないですけど・・)になるべく近い環境をユーザに提供することですから、HPの時と同様に少し、考えてみます。現実の舞台で人が強くなるということはどういうことでしょうか?まずは、才能、そして好奇心、そして練習、訓練、実践(実戦)です。ある格闘家は、「人はある出来事を境に急激に強くなることある」といっていますが、それは「何かを掴んだとき」だと思うのです。通常は訓練や実戦を積むことによって、そこから少しづつ何かを学び取り、強くなっていく。そして、その過程でその戦いに於ける定石というものを発見、身につけることによって急激に強くなる。その繰り返しなのでしょう。
これらは、経験値やレベルというものとはある程度切り離された指標として、数年前からコンピュータRPGにも入り込んでいます。いわゆる「スキルシステム」と呼ばれるものです。一般的にスキルシステムでは、剣や魔法を使うことによって、また剣や魔法によって攻撃を受けることによって、その対象に対する独自の経験値が上がっていき、少しづつ強くなっていくのです。なぜか、このスキルシステムには”レベル”というものが存在しない物が大半を占めています。これはひとえに開発者もレベルシステムの矛盾や問題点を考えているからです。じゃあ何故、純粋なキャラクタの強さの指標という物が無くならないのでしょうか。原因ははっきりしていると思います。それは”RPGとはそういうものだから”なのです。
しかし、全体的にこのレベルという物がなくなるとどうでしょう。「俺まだレベル4だから、〜の洞窟に行くのは大変だよ。」とかいった指標が無くなってしまうわけです。これはこれで困ります。私がいいたいのは、レベルという物を無くしてしまえというのではなく、レベルアップによって急激に強くなるとかHPが増えるとかいうのは良くないよ、ということなのです。つまり、レベルはあくまでもプレイヤーにとっての指標であり、戦闘やイベントなどはあくまでも経験値によって左右されるべきであるというシステムを提案したいのです。こう考えれば、レベルアップを繰り返すことでHPが10倍、100倍になるというようなことが無くなると思うのです。
じゃあ、強さの(コンピュータ内での)指標としての経験値というものはこのままでもいいのでしょうか。これも疑問が残ります。今のRPGではスキルシステムによって、剣、槍による攻撃力、攻撃を食らうことによる盾、防具の防御力などが制御されていますが、何故”敵の種類、イベントの種類”というスキルが存在しないのでしょう?たとえば、巨大昆虫型の敵と人間型の敵、ゴーレムなどの敵、魔法使いなどでは、戦闘の仕方という物は様々に変化していくと思うのです。今のRPGでは、これらは一緒くたになっていて、スライムとの戦闘で培った経験値は、スケルトンと闘うときにも有効なのです。変ですよね。ずっと短剣を使っていたキャラが、ロングソードに換えただけで愕然と弱くなるのに対してです。
人間が戦闘やイベントを解決しなければいけないテーブルトークと違って、コンピュータRPGはその内部処理をいくらでも複雑にすることが出来るのです。ならば、そろそろ古い慣習から離れて新たな”スキルシステム”を発展させてもいいのではないでしょうか。「シームレスなキャラクタの成長」と「キャラクタを中心としたすべての事象へのスキルシステムの導入」これが私の考えるRPGの基本的な概念です。
またまた、戯言につきあっていただいてありがとうございました。次回は「フィールドマップとワンダリング」について述べさせていただきます。文句、賛同、罵倒、なんでも受け付けます。メールを下さい。(ただ忙しいのですぐに返事が書けるとは限りません。すみません・・)
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SAKAGUCHI Tatsumi - tatsu@ee.seikei.ac.jp -